JR琴似駅の喧騒を少し離れ、北海道警察警ら隊の庁舎横にある公園へ。
春の盛り、ここには吸い寄せられるように多くの人々が集まってきます。
皆の視線の先にあるのは、見事に咲き誇る一本の桜。
最近あちこちで見かけるような、植えられたばかりの若々しい桜ではありません。
ここで幾度となく厳しい冬を越え、何十年という歳月をこの地に根ざしてきた、いわば「主」のような存在です。

歳月が刻んだ「深み」という美しさ
若木の桜が放つ瑞々しく華やかなエネルギーも素敵ですが、長い年月を重ねた桜には、言葉にできないほどの「深み」があります。
ごつごつと力強く、どこか厳格さすら感じる黒い幹。 そこから空を覆うように自由に広がる枝ぶり。 その対比の中で、淡く、優しく揺れる花びらを見上げていると、不思議と心が凪いでいくのがわかります。

琴似の街を見守り続けて
きっとこの桜は、変わりゆく琴似の街並みを、そして行き交う人々を、ずっと変わらずに見守ってきたのでしょう。
「綺麗だね」とシャッターを切る人。 そっと足を止めて見上げる人。
集まってくる人々の表情がどこか穏やかなのは、この桜が持つ圧倒的な包容力に触れているからかもしれません。
流行りのスポットもいいけれど、たまにはこうした「深みのある美しさ」にどっぷりと浸るのも贅沢な時間の使い方。 今年もまた、この場所で春の深さを教えてもらいました。

気温や天候で表情を変える桜。 皆さんも琴似に立ち寄る際は、ぜひあの力強くも優しい枝ぶりを仰ぎ見てみてください。
