
午前6時05分
スマートウォッチのアラームが鳴り、目が覚める。
窓の外はまだ深い藍色である。
結露した手すりは凍りつき、外気との境界線を「氷」として示している。
エレベーターを降り玄関のドアを開けると、ー6℃の大気が肺の奥まで一気に流れ込み、一瞬で目が冴える。
街灯に照らされた雪が、ダイヤモンドダストのように宙に舞い、誰も踏んでいない新雪が青白く光っている。

少しずつ、街が動き出す。
近隣の家、まだ暗闇の中「ザッ、ザッ」と雪を掻く乾いた音が響き始める。
防寒着に身を包んだ人々が、黙々と、しかし力強く雪かきを動かす。
吐き出す息は真っ白で、まるで命の熱が見える様
この過酷な環境が、人の心をかえって素直に、温かくさせるのかもしれない。

午前7時10分
琴似駅へと向かう道に、人影が増えてくる。
圧雪され、鏡のように磨かれた路面。
一歩間違えれば転倒する危うい足元を、確かな足取りで進んでいく。
その姿は、北国に生きる人たちの「たくましさ」そのものだと感じる。
凍てつく風に肩をすくめながらも、視線はしっかりと前を向いている。
コンビニの入り口から漏れる暖色の灯りや、家々の換気口から立ち昇る白い湯気が、この極寒の世界において救いに見える。

午前7時20分
ようやく東の空から、力強くも冷ややかな太陽が顔を出す。
真っ白に雪化粧した街の空が、朝日に染まって淡いピンク色に輝き始める。
その美しさは、厳しい冬を耐え忍ぶ人への「ご褒美」のような景色だ。
身体は冷え切り、指先の感覚は乏しい。
けれど、胸の奥には不思議な充足感がある。
滑りやすい道をキュッキュッ一歩ずつ踏みしめ、寒さを防ぎ、互いを気遣いながら一日を始める。
この「当たり前」の繰り返しの中に、人間の持つ真の強さと、静かな誇りが息づいている。

琴似・発寒の朝。
厳しければ厳しいほど、人の温もりが光り輝く時間。
今日も私たちは、この白の世界をたくましく生きる。
